ウィーナー・ヒンチンの定理  Wiener-Khintchine

   index   

 信号 x(t)周波数分析(短時間フーリエ変換)を離散的に実現したものは下図のようでした。

周波数きざみ df で並べられた共振器の出力、・・・, rn-1(t), rn(t), rn+1(t),・・・ x(t) に含まれるそれぞれの周波数成分でした。 電力スペクトルは、これらの周波数成分の電力(自乗平均)をプロットしたもです。 この概念にそって、

定理 ( Wiener-Khintchine )
 電力スペクトルのフーリエ逆変換は信号 x(t) の自己相関に等しい

を導いてみましょう。 

その前に、x(t) は初等関数で表されるような確定した信号ではなく、確率過程(この場合はエルゴード的で定常)であることを前提にします。 分析すべき信号 x(t) は一つの実現したサンプルですが、それが確率的なルールによって生み出されたものと考えます。 たとえば、ぼくの人生はたった一回限りのものですが、違った先生の教育を受けたり、違った女性たちとめぐり合えば、まったく違った人生を歩んでいたわけです。 すなわち、人生なんてほとんど無限の可能性(良かれ悪しかれ)があったわけです。 このような”人生の偶然性”が、一生を通じて同じ確率的メカニズムによって起こると考え、この概念を定常といいます。 実際には、ぼく自身は成長し、老化し、いずれは死んでしまいますが、数学的なモデル化のために、いつまでも同じ年齢で、上の確率的メカニズムが不変だと考えます。 このモデルに対して、たとえばぼくの血圧の長時間平均がぼくの確率的メカニズムによって起きるすべての健康状態の血圧の平均値(期待値)に等しいとする概念をエルゴード性といっています。 これ以上の詳細は確率過程を参照してください。

では、具体的に周波数分析

から電力スペクトルを求め、そのフーリエ逆変換を計算してみましょう。 電力スペクトルは

で与えられますが、右辺をもう少し変形すると次のようになります。

ここで、x(t) の自己相関です。 次に、これをフーリエ逆変換します。

ここで、{ }内がデルタ関数 になるので、

が得られます。 このようにして、周波数分析(短時間フーリエ変換)の電力スペクトルから、自己相関の近似が得られることが分かりました。 上の形は、自己相関を包絡線 のコンボリューションを通して見ていることを意味しており、それが自己相関が集中する範囲でフラットならば、小さい歪みで自己相関が観測されることがわかります。

 ページのトップへ